「ICチップが使われているものは何か」と問われて多くの人が思い浮かべるのはパソコン、家電、携帯電話などの電気製品だろう。でもICが実際にどのよ うな働きをしているのか、を明確に答えることができる人は少ないはず。多くの人は、「いろいろな機能を担ってくれる賢いチップ」というイメージしか持って いないだろう。実は、そのICチップがエプソンのインクカートリッジにも搭載されている。電気製品でもないインクカートリッジだが、ICチップはやっぱり 賢い働きをしている。


インク残量の管理はおまかせ 《誤動作、異なるインクを感知》

   「カラリオ」のインクカートリッジには、メモリーチップ(Integral Memory  Chip)と呼ばれるICチップが内蔵されている。このメモリーチップは、どんな働きをしているのか。

カートリッジに装着したチップがインク残量などの情報を把握

 ひとつはカートリッジ内のインクの残量を記憶すること。その情報を常にプリンターに送り、パソコンの画面上に表示することで、リアル タイムでインク残量 や交換時期をわかるようにしている。「カラリオ」のカートリッジは、インク供給口に弁がついており、取り付け時に開放し、取り外すと閉じる構造になってい る。このため途中交換や一度取り外したカートリッジを再装着しても、弁の作用で空気が入りにくく、ピエゾ方式の大敵であるインクへの気泡混入が防げる効果 がある。

 複数台のプリンターを使用しているユーザーにとっては、使用中のプリンターのインクが印刷途中でなくなり、別のプリンターに装着され ているインクカート リッジを抜いて使用しても、チップがインク残量を記憶してプリンターに情報を送るので、インク切れによる空気の混入が原因となるトラブルが発生することが ない。またカートリッジは色ごとに形状を変えているため、間違った場所に装着できないといった工夫も施されている。

(1)インクがなくなったことをチップが把握 (2)パソコンの画面にインク切れのメッセージを表示


《使い切った色だけ交換》

 子供の頃、クレヨンや絵の具で絵を描いていると、好きな色、よく使う色ばかりが早くなくなる、といった経験がある。それと同じで、プ リンターも画像に よってよく使う色というのがある。インクジェットプリンターが、各インクを単色、または混色して表現していることは「つよインク編2」ですでに述べたが、 このため画像によっては特定の色の減りが早くなる。「つよインク」のカートリッジは、一色ずつが独立しており、一色ごとの交換が可能。


独立タイプのインクカートリッジなのでコストパフォーマンスにすぐれる

 これまでのスポンジ状にインクを吸収させて保持するフォーム式インクカートリッジでは、体積効率の悪さからインクカートリッジを独立 させることができ ず、他の色が残っていても、一色が無くなった時点で交換しなければならなかった。しかし新「カラリオ」のインクカートリッジは、各色が独立しているため無 くなった色だけを交換できるようになった。

 例えば海の写真を大量にプリントしようとする。でも、パソコン画面のインクの残量はごくわずか、という場合には、途中でインク切れが 起こらないようにあらかじめブルーインクを新品と交換しておく。印刷が終了したら、元のカートリッジと交換するという使い方も可能になる。

 一色がなくなったら、他色のインク残量にかかわらず捨てなければならない一体型のフォーム式に比べ独立式のインクカートリッジは、コ ストパフォーマンスに優れる。


《いろいろな用紙に対応 インクチェンジングシステム》

 PM-4000PXでは、用紙のタイプにあわせてインクを交換し、最適な画質や速度が得られる「インクチェンジングシステム」を採 用。フォトブラック、 マットブラック、グレーインクをフォト用紙、マット用紙、普通紙の各特性にあわせて切り替えられる。具体的には、希望する組み合わせのインクをセットする と、プリンターがインクカートリッジを認識し、インクセットに対応した最適な印刷設定を自動的に行う。つまりインクカートリッジを差し込むだけで、メモ リーチップの情報をプリンターが読み取り、自動的に最高の状態を設定して印刷してくれるというわけだ。

 カラリオのインクカートリッジの"賢さ"は、メモリーチップがあってこそなのである。




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